初期段階における問診と対応について

食中毒は、夏場を中心にだれであってもかかる可能性があります。
比較的重症になることがないと思われがちですが、判断を誤ると時に命を落とす危険性があるケースも少なくありません。また、他の疾患と混同しやすい症状をきたすこともあるため注意が必要です。そこで、看護師は食中毒が疑われる患者が訪れた場合には、まずいつ、どこで何を食べたのかという食歴をはじめ、いつから発熱があるのか、下痢や嘔吐といった症状がないのかなどを問診します。加えて、家族や身近な人で同様の症状をきたしている人はいないのか、海外渡航歴はないかの確認も必要です。

これらによって、患者の優先診療が必要かどうかを判断します。食中毒は、一見下痢や嘔吐などの軽い症状に思えても、時に高熱が出たり呼吸不全を引き起こしたりする可能性もあるので、早急な診察が必要な患者かどうかを判断するのは重要です。さらに、感染する恐れがある食中毒かどうかの判断も必要になります。感染症の食中毒の場合、他の患者と同じ場所で待機させることをしてはいけません。隔離をしたうえで、院内感染を防ぐために、他の診療科への連絡を行いましょう。これらの対応を素早く行うことが、被害を拡大させないために看護師が行うべきことと言えます。初期の対応が終わった後には、患者の症状の急変に注意が必要です。水分補給を行いながら、脱水症状や呼吸困難などを引き起こしていないか常に確認することがポイントとなります。