食中毒は細菌やウイルス、毒物などが原因で起こる体調不良の一種です。
有害な物質を体外に排出しようと、嘔吐や下痢などの症状に見舞われるのが特徴ですが、その際に体の水分が急激に失われる問題もあります。そのため、患者への水分補給を適切に行うのも看護師の重要な役割と言えるでしょう。もちろん、すべての食中毒患者が即座に水分補給が必要とは限りません。原因物質によっては迂闊に水分を与えてはいけないこともあるので、正しい知識に基づいて対処する必要があります。また、細菌やウイルスが原因の場合、介助作業に従事する看護師が感染する恐れもあるので注意しましょう。マスクや手袋などの保護具を必ず使い、患者の体から出た汚物には素手で触ってはいけません。
食中毒の内科的な治療は、投薬による体調の改善が主な方法です。水分を補給しながら嘔吐や下痢の症状を抑えるのが目的ですが、これらの症状は有害物質を排出する意味もあるので安易に止めるのは良くないと言えます。しかし、症状によって患者が衰弱する恐れもあることから、その点を踏まえて慎重に判断しなければいけません。看護師は様々な症状によって疲弊した患者を労わり、適切に介助する努めがあります。食中毒によって心身が弱っている患者を支え、生きる気力を保つように励ますことが最も重要な役割と言っても過言ではありません。正しい医療の知識に基づいた衛生管理や介助作業を行うと同時に患者の心のケアも忘れずに行いましょう。